【保存版】ガルバリウム鋼板屋根にリフォームする際の基礎知識&費用相場を徹底解説

はじめに

「屋根をガルバリウム鋼板にしてみませんか?」とリフォーム会社から提案されたとき、真っ先に浮かぶのは「ガルバリウム鋼板ってどんな屋根材なの?」という疑問ではないでしょうか。
ガルバリウム鋼板は、メンテナンスフリーに近い高い耐久性をもつ屋根材として人気急上昇中です。実際、新築住宅や外装リフォームだけでなく、屋根材としても大きくシェアを伸ばしています。しかし「ガルバリウム鋼板=完全にメンテナンスが不要」と思い込むのは危険です。
本記事では、ガルバリウム鋼板の基礎知識や他の屋根材との違い、リフォーム工法、さらには施工費用や注意点などを詳しく解説していきます。これから屋根リフォームを検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。


目次

1. ガルバリウム鋼板とは?

ガルバリウム鋼板の定義

ガルバリウム鋼板(Galvalume)は、もともとアメリカのベスレヘム・スチール社が1972年に開発した「アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板」のことを指します。日本でも「ガルバ」「ガリバリウム」などと呼ばれ、**JIS G3321(溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板)**という規格によって定義されています。

1-1. ガルバリウム鋼板の構造

ガルバリウム鋼板の本体は鉄板です。鉄板そのものはサビやすい性質があるため、そこにアルミ亜鉛合金めっきを施すことで高い防錆効果を持たせています。
つまり、ガルバリウム鋼板というのは「表面処理によって防錆効果を高めた鋼板」であり、素材自体が魔法のように錆びないわけではないという点に注意しましょう。めっき層が傷ついてしまうと、内部の鉄板が露出し、そこからサビの進行が始まるリスクがあります。

1-2. ガルバリウム鋼板とトタンの違い

一昔前に使われていたトタンは、「亜鉛めっき鋼板」です。トタンとガルバリウム鋼板を比較すると、ガルバリウム鋼板はアルミニウムを含むめっき層が防食性を高め、さらに耐久性を上げた点が特徴。
その結果、トタンよりも耐用年数が長く、サビに強いことから、近年ではガルバリウム鋼板が金属系屋根材の主流となりつつあります。


2. ガルバリウム鋼板屋根の特徴

2-1. 屋根材の性能比較表

ガルバリウム鋼板をはじめ、代表的な屋根材には以下のような特徴があります。

屋根材耐久性耐震性断熱性防音性メンテナンス性総合評価
ガルバリウム鋼板AABB20~50年程度(B評価)6点
日本瓦ACAA50~100年(A評価)7点
セメント瓦ACAA30~40年(B評価)6点
スレート瓦BBBB20~40年(B評価)6点
トタンCACC10~20年(C評価)2点

このように、ガルバリウム鋼板は耐震性に優れ、メンテナンスや耐用年数の面でも悪くない屋根材といえます。一方、瓦やスレートに比べると「断熱性」「防音性」でやや劣るという側面があります。

2-2. ガルバリウム鋼板の耐食性に関する注意点

海岸地域など塩害が発生しやすい場所では、金属屋根はどれも腐食リスクが高まります。ガルバリウム鋼板も例外ではなく、表面めっき層が大きく損なわれると、そこからサビが広がる可能性があるのです。
また、ガルバリウム鋼板はアルミを含むためアルカリ性に弱いという特徴もあります。畜舎や堆肥舎などの強いアルカリ環境では使えない場合もあるので、立地条件を考慮しつつ最適な屋根材を選びましょう。

2-3. ガルバリウム鋼板の耐震性

ガルバリウム鋼板屋根は、瓦屋根と比べるとおよそ1/10ほどの軽さを実現できます。建物の総重量が軽くなることで重心が低くなり、地震の際の揺れが抑えられるメリットがあります。
日本の地震大国という環境を踏まえると、軽量屋根材を採用することは耐震性向上に大きく貢献します。そのため、瓦屋根からガルバリウム鋼板へ葺き替えるリフォームが増加しているのです。

2-4. ガルバリウム鋼板の断熱性

ガルバリウム鋼板は厚さ0.35~0.7mm程度と非常に薄く、素地そのものには断熱性能はほとんど期待できないのが実情です。
既存のスレート屋根の上にガルバリウム鋼板を重ねる「カバー工法」であれば、屋根が二重構造になるため、断熱性能はある程度確保できますが、瓦屋根からの葺き替えの場合は要注意。断熱シートや断熱材を併用するなど、追加対策が必要になるケースが多いでしょう。

2-5. ガルバリウム鋼板の2つの断熱・遮熱対策

  1. 断熱材一体型のガルバリウム鋼板を使う
    代表的なものとしては、ニチハの「横暖ルーフ」やアイジー工業の「ガルテクト」があり、ガルバリウム鋼板の裏側に断熱材を組み込んだ構造です。いわば「ジャケットの下にセーターを着る」ように、多層構造で保温性を高めます。
  2. 断熱シート・断熱ボードを併用する
    リフォームの際に屋根下地や野地板の上に断熱シート・断熱ボードを敷くことで、金属屋根特有の熱伝導の高さを緩和し、室温の上昇を抑えます。葺き替えなら新しい野地板を用意する段階で実施し、カバー工法なら既存の屋根との間に断熱材を挟みこむなどの施工が可能です。

2-6. ガルバリウム鋼板の防音性

金属屋根は雨音が響きやすいというデメリットがあります。スレートや瓦に比べると、雨が屋根を叩いたときの音が大きくなる傾向です。
ただし、既存の屋根を残したカバー工法なら、二重構造になるため防音性を比較的担保できます。既存屋根を撤去してから葺き替える場合は、断熱材や防音材を合わせて採用することで雨音対策を補強する必要があるでしょう。最近では、表面に天然石チップを吹き付けた製品もあり、防音効果を高める工夫がされています。


3. ガルバリウム鋼板のメンテナンス性と劣化症状

「ガルバリウム鋼板はメンテナンスフリー」と言われることがありますが、実際には完全にメンテナンス不要ではありません。経年で塗装が劣化したり、傷ついた部分からサビが進行したりする可能性があります。
ここでは、ガルバリウム鋼板に起こりやすい代表的なサビの症状を3つ紹介します。

3-1. 赤サビ

鋼板の内部がむき出しになり、水や空気に触れると赤サビが発生します。ガルバリウム鋼板はアルミ亜鉛合金めっきが表面を守っていますが、何らかの衝撃や施工時の傷などでめっき層が剥がれると、そこから錆びが広がっていきます。
赤サビが出た部分は、早めに再塗装や部分補修が必要です。そのまま放置すると穴が開いてしまうケースもあります。

3-2. 白サビ

ガルバリウム鋼板を塗装せず素地のまま使用している場合、雨の当たりにくい軒下などで白い斑点状のサビ(白サビ)が発生することがあります。
これはメッキ層の亜鉛が酸化し、表面に浮き出てきた状態です。厳密には鉄板の腐食というより亜鉛成分の腐食に近く、水洗いである程度落ちますが、美観を損ねやすいのが難点です。

3-3. もらいサビ

カット作業時に出る切りくずや、他の鉄部品(鉄釘など)が触れてサビが発生し、それがガルバリウム鋼板の表面に移ってしまう現象を「もらいサビ」と呼びます。
ガルバリウム鋼板自体が腐食しているわけではなく、表面に付着した鉄粉がサビているケースなので、早期なら中性洗剤や水洗いで除去可能です。ただし放置すると、長期間にわたって屋根にサビが残り、美観に影響を及ぼす場合があります。


4. ガルバリウム鋼板屋根リフォームのメリット・デメリット

ガルバリウム鋼板を使った屋根リフォームには、大きく分けて**「葺き替え工事」「カバー工法」**の2パターンがあります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを確認しましょう。

4-1. 葺き替え工事のメリットとデメリット

メリット

  • 軽量で耐震性が高い
    既存の瓦を撤去する場合、屋根の総重量が大幅に軽くなり、耐震性が向上します。
  • 施工価格が比較的安い
    屋根材自体が軽量で施工しやすいため、瓦などと比べると単価が抑えられるケースがあります。
  • 耐用年数が長い
    適切な塗装やメンテナンスを行えば、20~50年程度の長寿命が期待できるため、長期的に安心です。
  • デザイン性に優れている
    色や形状のバリエーションが豊富で、洋風・和風いずれの建物にも合わせやすい。

デメリット

  • 防音性に劣る
    金属特有の雨音が響きやすいため、追加の防音対策が必要な場合があります。
  • 断熱性が低い
    素材自体には断熱性能がないため、下地や断熱材を工夫しないと夏場の室温が上昇しやすくなります。

4-2. カバー工法のメリットとデメリット

メリット

  • 既存屋根を撤去しないため施工価格が抑えられる
    瓦やスレート、トタンなどの屋根をそのまま残して上からガルバリウム鋼板を葺くので、撤去費や処分費を節約できます。
  • 工期が短い
    解体作業が少なくスピーディーに工事が終わる場合が多い。
  • 断熱性・防音性が高い
    既存の屋根と新しい屋根との間に空間や下地材があるため、二重構造で夏の暑さや雨音を軽減できます。
  • 耐用年数が長い
    ガルバリウム鋼板は素材自体が長持ちしやすく、既存屋根への負担も軽減されます。

デメリット

  • 雨漏りの原因が特定しにくい
    屋根が二重構造となるため、万が一雨漏りが発生した際に、どの層で浸水しているか把握しにくくなる可能性があります。

4-3. ガルバリウム鋼板をおすすめできる人

  • 今後20年以上は住み続ける予定がある方
    ガルバリウム鋼板は耐用年数が長く、一度リフォームをすれば長期間安心して暮らせます。
  • 既存屋根がスレート材・トタン屋根で、費用を抑えたい方
    カバー工法が適用できるケースが多く、断熱・防音性能も同時に高めやすい。
  • 住宅の耐震性を向上させたい方
    瓦屋根から葺き替えると、重量が大幅に軽減されるため、地震時の揺れを低減できます。

5. ガルバリウム鋼板屋根の施工費用相場(工法別)

ここからは、工法別の施工費用を見ていきましょう。
なお、以下はあくまで一般的な相場例です。建物の構造や勾配、地域、使用するガルバリウム鋼板のグレードなどによって変動しますのでご注意ください。

5-1. 前提となる建物スペック

  • 屋根面積:80㎡(約24坪)
  • 勾配:一般的な傾斜(4~5寸程度)
  • 平屋または2階建ての標準的な屋根形状

5-2. 瓦屋根からガルバリウム鋼板へ「葺き替え工事」の場合

見積もり項目単価(円/㎡)数量(㎡)金額(円)
瓦撤去費用2,00080160,000
瓦・廃材処分費2,00080160,000
下地(コンパネ)2,00080160,000
防水材(ルーフィング)6508052,000
ガルバリウム鋼板施工費用6,00080480,000
その他屋根部品(棟板金など)一式70,000
管理費一式30,000
合計1,112,000

5-3. スレート屋根からガルバリウム鋼板へ「カバー工法」の場合

見積もり項目単価(円/㎡)数量(㎡)金額(円)
防水材(ルーフィング)6508052,000
ガルバリウム鋼板施工費用6,00080480,000
その他屋根部品(棟板金など)一式70,000
管理費一式30,000
合計632,000

5-4. トタン屋根からガルバリウム鋼板へ「カバー工法」の場合

見積もり項目単価(円/㎡)数量(㎡)金額(円)
下地(コンパネ)2,00080160,000
防水材(ルーフィング)6508052,000
ガルバリウム鋼板施工費用6,00080480,000
その他屋根部品(棟板金など)一式70,000
管理費一式30,000
合計792,000

6. ガルバリウム鋼板の主要メーカー3選

ガルバリウム鋼板といっても、メーカーや商品ごとに断熱材の有無や塗装グレード、厚みなどが異なります。ここでは、リフォーム市場でも人気の高い代表的な3社を紹介します。

6-1. ニチハ株式会社「横暖ルーフ」シリーズ

  • 横暖ルーフαプレミアムなどの上位商品は、表面塗装にフッ素塗料を採用しており、超高耐久を実現。メーカー保証も20年と長期です。
  • ガルバリウム鋼板の裏側に12mm程度の断熱材を組み込んだ構造で、断熱性・遮熱性を高めています。葺き替えでもカバー工法でも利用可能。

6-2. アイジー工業株式会社「ガルテクト」シリーズ

  • 屋根リフォームの定番商品で、断熱材として**「ポリイソシアヌレートフォーム」**を採用。一般的な硬質ウレタンよりも断熱効果が高いと評判です。
  • 軽量で施工しやすく、耐用年数も長め。遮熱性塗装のオプションなどもあり、夏場の室温上昇を緩和できます。

6-3. 福泉工業株式会社「efルーフ(エフルーフ)」

  • 断熱材は約9mmとやや薄めですが、屋根下地との間に空気層をつくることで断熱効果を補強しています。
  • 空気層を設けることで屋根裏の換気効率を高め、湿気や熱のこもりを抑える仕組み。住環境と耐久性を両立する製品と言えます。

7. まとめ:ガルバリウム鋼板を選ぶ前に知っておきたいこと

ガルバリウム鋼板は、軽量性・耐震性・耐久性に優れた金属屋根材であり、葺き替えやカバー工法といったリフォーム方法によって大きな効果を発揮します。しかし、完全にメンテナンスフリーというわけではなく、経年劣化によるサビや塗装の剥がれが生じる場合もあるため、定期的な点検や適切な補修が必要です。
また、断熱性や防音性は素地だけでは弱い面があるため、断熱材一体型の商品下地材への工夫で補完するのが一般的です。リフォーム会社や屋根専門業者に相談する際は、こうしたポイントをしっかり把握したうえで、**「本当に信頼できる施工業者なのか?」**を見極めることが大切になります。

屋根リフォームは、家の寿命や快適性に直結する非常に重要な工事です。しかも決して安い費用ではありません。だからこそ、情報収集と業者選びが成功・失敗を左右するといっても過言ではないでしょう。
ガルバリウム鋼板によるリフォームを検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしながら、価格・機能・工事品質をじっくり比較検討してください。軽量かつ長持ちするガルバリウム鋼板の魅力を最大限に活かし、住まいの安全性と快適性を向上させるリフォームを実現しましょう。

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