屋根漆喰補修の費用相場と工程を理解して、確かな工事を実現する方法

近所で屋根工事を行っている業者や、突然自宅へ来た訪問販売員から「瓦がずれていますよ!」と声をかけられた経験はありませんか?

屋根の劣化や不具合は、実際に屋根へ上がって点検しないと発見が難しいため、「専門家が言うのだから信頼できるはず」と無料点検を依頼してしまうケースが多々あります。

こうした無料点検の際によく指摘されるポイントの一つが「漆喰の崩れ」です。「漆喰が剥がれているので、このまま放置すると雨漏りしますよ」と不安を煽られ、工事の必要性を感じる方も多いでしょう。

そこで本記事では、屋根の漆喰補修を正しく理解し、費用相場や工事の流れを把握することで、適正な価格と品質で工事を実現するための知識をお伝えします。漆喰工事をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1. 漆喰とは何か

漆喰は、古くから日本の内外装に広く用いられてきた白色の建築材料です。塀や壁、城郭建築など、約5000年もの歴史を持ち、その代表例として「姫路城」の外壁にも使われています。

屋根においては、特に和瓦の棟部分で漆喰が利用され、瓦を固定する土(葺き土)を押さえ、水の侵入を防ぐ役割を果たしています。漆喰が崩れると、その隙間から雨水が侵入し、雨漏りにつながるおそれがあるため、適切な補修が欠かせません。

2. 屋根漆喰補修の工程

漆喰補修は、以下のような手順で行われます。DIYでの実施は難しく、特に棟部分は構造が複雑なため、熟練した職人へ依頼することが重要です。

2-1. 既存の漆喰撤去

まず、古くなった漆喰を剥がし、下地の葺き土が見える状態まできれいに除去します。これにより、新たな漆喰を密着させるための準備が整います。

2-2. 葺き土の整えと湿らせ

漆喰は葺き土を支えるための素材です。漆喰を塗り直す前に、葺き土を整え、均一にならします。そして、漆喰の定着を良くするため、葺き土を軽く湿らせておくことがポイントです。

2-3. 新たな漆喰の塗布

下地が整ったら新しい漆喰を丁寧に塗っていきます。この作業は職人の技量が大きく影響します。厚く塗りすぎると突起部分に雨が直接当たり、早期劣化の原因となります。適切な厚みで美観と耐久性を両立するには、熟練の職人による施工が必須です。

3. 屋根漆喰補修の費用相場

漆喰補修の費用は一般的な目安として、1メートルあたり約4,000~7,000円ほどかかります。また、1軒まるごとの補修になると、合計で約24万円~42万円ほどが目安となる場合があります。さらに、足場の設置が必要な場合は15万円~25万円程度の追加費用が発生することも珍しくありません。

「屋根塗装より高いのでは?」と感じる方もいますが、漆喰補修は工事規模の割に費用が高額です。その理由は次で詳しく解説します。

4. 漆喰補修費用が高くなる2つの理由

4-1. 屋根職人の人件費の高さ

家づくりには塗装職人やコーキング職人など、さまざまな技術者が関わりますが、「屋根に上がる」職人は限られます。屋根工事は高度な知識や技術が必要で、一人前になるまで3~5年はかかると言われるほど熟練を要します。人材が少ない分、人件費も高くなり、その分施工費用に反映されます。

4-2. 足場の設置が必須

2階建て以上の屋根で作業を行う場合、労働安全衛生規則により足場設置が義務付けられています。足場費用は15~25万円ほどが一般的で、漆喰補修の費用を押し上げる大きな要因となります。

自社で足場を組める業者もありますが、どの道足場費用は発生するものと考えておくとよいでしょう。

5. まとめ

屋根の漆喰補修は、瓦棟部分の防水性を維持し、雨漏りを防ぐうえで欠かせないメンテナンスです。しかし、熟練した職人の人件費や足場費用などにより、相場は決して安くありません。

そのため、漆喰崩れを指摘された際は、すぐに飛び込みのリフォーム業者に依頼せず、屋根専門の業者へ相談することが肝心です。専門業者であれば、正しい判断や適切な施工を行い、結果的に長期的なコスト削減と安心につながります。

漆喰補修をご検討の際は、費用相場や施工工程を正しく理解したうえで、信頼できる専門業者に任せてください。

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